跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
妊娠しているかもしれないと気づいてから、三日が経った。

この日の社内会議で、月替わりで商品を提供する企画案を提出した。その結果、反応はまずまずで検討していこうと賛同を得られている。もちろんこれからさらに手直しが入るだろうが、自分の考えが採用されたのは素直に嬉しい。

ここのところ、千秋さんから逃げるように仕事に没頭してきたが、その成果を少しでも形として残せるのはすごく誇らしい。これを積み重ねていけば、自信につながりそうだ。
 
ただひとたび仕事を離れると、せっかく前向きになりつつあった気持ちが途端に後退してしまう。

退社する時間になって帰宅しようと鞄を手にしたとき、昼間に所要で外出したついでに入手した離婚届がちらっと見えて、深いため息を吐いた。たった一枚の紙の存在が、鞄をずいぶんと重くしているようだ。

私は千秋さんのお荷物でしかない。ふさわしくないのだから、離れなければならない。そうわかっているのに、彼を好きになってしまったせいで辛くてたまらない。

別れのときが刻々と近付いているのだと意識させられ、どんどん気分が沈んでいく。せめて視界に入らないようにと、緑色のインクで印字されたそれを事務所にあった封筒にしまい込んだ。

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