跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
それに私の提案したものが平凡だったとしても、提供する商品のデザインまでその程度で終わらせるつもりはない。
顧客のニーズに合わせて喜ばれるものを生み出したいと、個人で活動している若い陶芸家にデザインでの協力を仰いだり、コップばかりでなくてシリアルボウルのようなまだ提供していない新商品を考えたりしている。

ここで怯んではだめだと、うつむきそうな自分を叱りつける。

タイルについては、今後の需要次第で製造工場の増設や機械化などを検討すべきなのは当然だ。すでに父が叔父と話をしているし、千秋さんも承知している。及川へは今後も様々な案件で協力する話になっているが、加藤のタイルを使ったマンションを見た他企業からも使用を検討したいと問い合わせが来ており、需要が増えると予想される。

それについて千秋さんは、もはや及川の手を離れた話だと、加藤での判断を促した。もちろん、個人的にはいくらでも相談に乗るとして。

つまり、及川の人間である岸本さんが口出しできる話ではない。

「どういう意味かしら。千秋から加藤の再建をまかされているのは私よ。認められた私が意見を言ってはいけないというの? 私よりもあなたの意見の方が優れているとでも?」

「それは……」

言い返したいが、さすがにギャラリー内でする話ではない。そう促そうとしたが、私になにも言わせないような勢いで言葉を重ねてくる。

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