跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
「愛佳、朝ぶりだな」
すっかり委縮しかけていると、千秋さんが砕けた雰囲気で声をかけてきた。途端に岸本さんの表情が曇る。
「お疲れ様です」
気安い口調の彼に対して、他人の目を気にしてぎこちない返しになってしまう。くすりと笑った千秋さんは、そのまま岸本さんを置いて足早に私に近付いた。
「今日も頑張ってるな」
労わる気持ちからか、ポンポンと頭に手を乗せられる。嬉しいはずのこのふれあいも、岸本さんの存在を意識すると子ども扱いされていると見られそうでバツが悪い。
「愛佳?」
ほんの少し身をよじると、千秋さんが不思議そうな顔をした。
「ち、千秋さん、ここはギャラリー内なので……」
「ああ、そうか。悪いな。愛佳を見ると、つい触れたくなる」
まったく悪気のない調子で言いながら、正面から抱き込むようにしながら背中をポンと軽くたたいてくる。私の忠告など、まったく意に介していないようだ。
「及川社長、お疲れ様です」
頬を赤らめながら千秋さんを押しのけていると、彼の到着の知らせを受けた父が表に出てきた。おかげで、やっと解放させられてほっとする。
挨拶を交わしながら応接室の方へ向かうふたりを見送ると、もう一度岸本さんの方へ向き直った。険しい顔で私を見据えていた彼女は、視線が合ったとたんにふっと小さく笑った。
身がまえる私の手前で足を止めた彼女は、千秋さんに見せたのとはまったく違う、嘲るような笑みを浮かべている。
「まるで、子ども扱いね」
やはりそう見えたかと、くすりと笑いながら去っていく彼女を暗い気持ちで見送る。
第三者から見ても、千秋さんの私への接し方は子どもに対するそれと同じなのだ。もしくはペット。悔しいというよりも悲しさが勝り、気分がどんどん沈んでいく。
千秋さんから離れる計画を、はやめた方がいいだろうか?
マンションの予約開始当日は彼もなにかと落ち着かないかもしれないから、その翌日に話をする時間を作ってもらおう。同じ認識でいれば、実際に届を出すのが遅くなってもかまわないだろう。両親への根回しは間に合わなさそうだけど。
すっかり委縮しかけていると、千秋さんが砕けた雰囲気で声をかけてきた。途端に岸本さんの表情が曇る。
「お疲れ様です」
気安い口調の彼に対して、他人の目を気にしてぎこちない返しになってしまう。くすりと笑った千秋さんは、そのまま岸本さんを置いて足早に私に近付いた。
「今日も頑張ってるな」
労わる気持ちからか、ポンポンと頭に手を乗せられる。嬉しいはずのこのふれあいも、岸本さんの存在を意識すると子ども扱いされていると見られそうでバツが悪い。
「愛佳?」
ほんの少し身をよじると、千秋さんが不思議そうな顔をした。
「ち、千秋さん、ここはギャラリー内なので……」
「ああ、そうか。悪いな。愛佳を見ると、つい触れたくなる」
まったく悪気のない調子で言いながら、正面から抱き込むようにしながら背中をポンと軽くたたいてくる。私の忠告など、まったく意に介していないようだ。
「及川社長、お疲れ様です」
頬を赤らめながら千秋さんを押しのけていると、彼の到着の知らせを受けた父が表に出てきた。おかげで、やっと解放させられてほっとする。
挨拶を交わしながら応接室の方へ向かうふたりを見送ると、もう一度岸本さんの方へ向き直った。険しい顔で私を見据えていた彼女は、視線が合ったとたんにふっと小さく笑った。
身がまえる私の手前で足を止めた彼女は、千秋さんに見せたのとはまったく違う、嘲るような笑みを浮かべている。
「まるで、子ども扱いね」
やはりそう見えたかと、くすりと笑いながら去っていく彼女を暗い気持ちで見送る。
第三者から見ても、千秋さんの私への接し方は子どもに対するそれと同じなのだ。もしくはペット。悔しいというよりも悲しさが勝り、気分がどんどん沈んでいく。
千秋さんから離れる計画を、はやめた方がいいだろうか?
マンションの予約開始当日は彼もなにかと落ち着かないかもしれないから、その翌日に話をする時間を作ってもらおう。同じ認識でいれば、実際に届を出すのが遅くなってもかまわないだろう。両親への根回しは間に合わなさそうだけど。