跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
「愛佳ほど加藤製陶を愛している社員を、俺は知らない」
褒め言葉なのかはわからないが、言われた言葉が嬉しくて千秋さんを見る。同時に彼も、先ほどと同じ優しい笑みを返してくれる。
「あ、愛だけでは、会社の経営なんてできません」
「だが、それがなければ長続きはしない。俺もそういう志を持って及川受け継ぎ、発展させてきたんだが」
ああそうだ。千秋さんはいつだって仕事に対して真摯に向き合っている。
加藤製陶との提携のために、忙しい身でありながら自ら岐阜まで足を運んでくれた。寝る間を惜しんで働いていたのも知っている。わずか数カ月間とはいえ、私はそれを間近に見てきたのだから。
岸本さんは、口元を引き結んでテーブルに視線を落とした。
「俺は愛佳が企画したあの一角を、場違いと言ったんじゃない。場が違うと言ったはずだ。岸本はそれを、自分の都合のいいように聞き取ったんじゃないのか? それとも愛佳に関連することは、捻くれた捉えしかできないのか?」
「場が、違う?」
似たような文字が並んでいても、受ける印象はまったく違う。この聞き間違いは、偶然なのか意図的なのかと思わずつぶやいた。
「そうだ。あの一角は、若い世代にも加藤の製品を知ってもらうためにはいい案だ。たださっきの客を見て、加藤のギャラリーは入りづらそうだったと愛佳も感じたんじゃないか?」
「そ、そうです。あの女性は、私が声かけた途端にほっとされて。きっと足を踏み入れるのに勇気がいったんだろうなあって」
「だから、場が違うと言ったんだ。あの一角は、外から見えて興味を引くだろう。だが、ギャラリーの入口はあの場とはまったく方向性が違う。人によっては二の足を踏むほどに」
このギャラリーでは高級ラインを扱ってきたのだから、それを見に来たわけじゃない人は躊躇するだろう。
褒め言葉なのかはわからないが、言われた言葉が嬉しくて千秋さんを見る。同時に彼も、先ほどと同じ優しい笑みを返してくれる。
「あ、愛だけでは、会社の経営なんてできません」
「だが、それがなければ長続きはしない。俺もそういう志を持って及川受け継ぎ、発展させてきたんだが」
ああそうだ。千秋さんはいつだって仕事に対して真摯に向き合っている。
加藤製陶との提携のために、忙しい身でありながら自ら岐阜まで足を運んでくれた。寝る間を惜しんで働いていたのも知っている。わずか数カ月間とはいえ、私はそれを間近に見てきたのだから。
岸本さんは、口元を引き結んでテーブルに視線を落とした。
「俺は愛佳が企画したあの一角を、場違いと言ったんじゃない。場が違うと言ったはずだ。岸本はそれを、自分の都合のいいように聞き取ったんじゃないのか? それとも愛佳に関連することは、捻くれた捉えしかできないのか?」
「場が、違う?」
似たような文字が並んでいても、受ける印象はまったく違う。この聞き間違いは、偶然なのか意図的なのかと思わずつぶやいた。
「そうだ。あの一角は、若い世代にも加藤の製品を知ってもらうためにはいい案だ。たださっきの客を見て、加藤のギャラリーは入りづらそうだったと愛佳も感じたんじゃないか?」
「そ、そうです。あの女性は、私が声かけた途端にほっとされて。きっと足を踏み入れるのに勇気がいったんだろうなあって」
「だから、場が違うと言ったんだ。あの一角は、外から見えて興味を引くだろう。だが、ギャラリーの入口はあの場とはまったく方向性が違う。人によっては二の足を踏むほどに」
このギャラリーでは高級ラインを扱ってきたのだから、それを見に来たわけじゃない人は躊躇するだろう。