跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
「高級ラインとそれ以外の商品を思い切って左右で完全に分けて、目的別に入りやすくすれば違ったかもしれない。とはいえ、愛佳の作ったコーナーに置いてある商品は見た目こそカジュアルだが、そのデザインの緻密さや、大量生産されていないという希少性で価格はそれなりにする。だから目指すところは違うが、加藤の威厳は保たれると俺は考えている。そもそも加藤ブランドを損なうようなものなら、粉引きを復刻版のタンブラーに採用していない」
どうしてここへ連れてこられたのかを忘れて、千秋さんと話し込んでしまった。彼の提案は私をわくわくさせてくれるから、話していると止まらなくなりそうだ。
「な、なによ。社長まで」
ヒステリックな岸本さんの声に我に返り、しまったと身を縮こませる。彼女らしくない物言いに、千秋さんが片眉を上げた。
「若さ以外になんの旨味のない相手と結婚させられてかわいそうだと心配していたら、社長ともあろう方がすっかり絆されて……」
「結婚、させられて?」
ドスの聞いた不穏な声音が隣から響いてくる。こっそり盗み見ると、千秋さんは正面を見据えたまま私の手に重ねられていた手にぐっと力を込めた。
さすがに私も、今の状況を見たらふたりの関係が想像していたものではないと察する。そして、隣に座る千秋さんがものすごく怒っていることも。
「そ、そうじゃないですか。名ばかりで落ち目でしかない加藤製陶と組むよりも、はるかに条件のよい取引先があったはずです。それなのに、菊乃さんの話に流されるようにして結婚を決めただなんて。さっき社長がおっしゃった、及川不動産への愛は嘘だったんですか!」
自棄になったように声を荒げる岸本さんを、千秋さんは冷静に眺めている。まるで、言い分があるならすべて吐けと鷹揚にかまえているようだ。
どうしてここへ連れてこられたのかを忘れて、千秋さんと話し込んでしまった。彼の提案は私をわくわくさせてくれるから、話していると止まらなくなりそうだ。
「な、なによ。社長まで」
ヒステリックな岸本さんの声に我に返り、しまったと身を縮こませる。彼女らしくない物言いに、千秋さんが片眉を上げた。
「若さ以外になんの旨味のない相手と結婚させられてかわいそうだと心配していたら、社長ともあろう方がすっかり絆されて……」
「結婚、させられて?」
ドスの聞いた不穏な声音が隣から響いてくる。こっそり盗み見ると、千秋さんは正面を見据えたまま私の手に重ねられていた手にぐっと力を込めた。
さすがに私も、今の状況を見たらふたりの関係が想像していたものではないと察する。そして、隣に座る千秋さんがものすごく怒っていることも。
「そ、そうじゃないですか。名ばかりで落ち目でしかない加藤製陶と組むよりも、はるかに条件のよい取引先があったはずです。それなのに、菊乃さんの話に流されるようにして結婚を決めただなんて。さっき社長がおっしゃった、及川不動産への愛は嘘だったんですか!」
自棄になったように声を荒げる岸本さんを、千秋さんは冷静に眺めている。まるで、言い分があるならすべて吐けと鷹揚にかまえているようだ。