跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
「捕獲完了」

「え?」

甘い雰囲気はどこにいった? と戸惑う私を、千秋さんの逞しい両腕ががっちりと囲う。

「愛佳。俺になにか隠し事をしてるんじゃないか?」

耳元でささやかれて、背中がぞくっと震える。
まるでそうだと確信しているように聞こえるのはなぜなのか。

私が岸本さんに苦しめられていた状況も、自分は千秋さんにふさわしくないから離婚を切り出そうと画策していたのも、すべて気づかれているのだろうか?

いや。はっきりしていないのに、わざわざ暴露しない方がいいに決まっている。

「えっと……岸本さんとのことを、黙っていてごめんなさい」

これは、さっきのやりとりでばれているだろう範囲だ。

「それについては、俺の人選ミスが原因だ。許そう」

「う、上から目線」

「あとは?」

謝罪の意がまったく伝わってこないが、それに口を挟む隙は与えてくれなさそうだ。

「千秋さんにふさわしくない妻で、ごめんなさい」

ぐいっと体を離した千秋さんは、視線をしっかりと合わせたまま自身の片手を私の目の前に掲げる。その行動の意味が理解できずに固まっていると、ニヤリとした千秋さんに軽く額を弾かれた。

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