跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
単純な私はそれぐらいの言葉で期待を抱きそうになるが、たしかな気持ちを伝えられたわけではないと心にブレーキをかける。冷静になれと、必死で自身に言い聞かせた。

「愛佳の一生懸命な姿も、自分では子どもっぽいと感じている、まっすぐで素直なところも好ましい」

シャツを握りしめていた手から、力が抜けてしまう。

「この俺を驚かせるような突拍子もない発言をしでかすとか、正直反則だろうと抗議したいぐらいだ。愛佳のくせにな」

冗談めかしてそう言った千秋さんは、再びピンと私の額を弾いてくすりと笑った。

「そ、そんなこと、言った?」

「ああ。お礼にネクタイだとかなんとか言ったかと思えば、いきなり子作りときた。加藤の経営が落ち着くまでは夫婦生活の要求は控えてやろうとしていたのに、まさか愛佳から誘ってくるなんてな」

「さ、誘ってなんて……いないこともないような……」

再び肩を揺らして笑った千秋さんが、私をぐっと抱き込んで至近距離から見つめてくる。

「愛佳」

彼の表情にはからかう様子など少しもなくて、私の中にあった不安が少しずつ薄れていく。

「好きだよ」

心臓がひときわ大きくドクリと跳ねる。ずっと欲しかった言葉をもらえたというのに、驚きすぎてその意味を呑み込めない。

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