跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
瞳を潤ませる菊乃さんを目の当たりにすると、妊娠を隠して離婚しようとしていた自分の身勝手さに罪悪感が湧いてくる。

間違った選択をしなくてよかった。
もしあのまま実行していたら、彼女をどれほど悲しませてしまっただろうか。それから千秋さんも。

隣に座る彼をチラリと見ると、菊乃さんに呆れた顔をしていたようだが、私の視線に気づいて見つめ返してくる。このつながりを失わずにすんで本当によかったと、膝に置かれた彼の手に空いていた自身の手を重ねた。

その後、気の早い菊乃さんは男の子だろうか女の子だろうかと楽しそうに想像し出した。
ベッドにベビーカーにいろいろと買いそろえないと、と算段しだしたときにはさすがに早すぎると千秋さんが窘めたが、彼女の勢いは止まらない。

「そうは言っても、あっという間なんですからね。ああ、愛佳ちゃんのご両親にも連絡して、お互いなにを用意するのか相談しないと」

「自分たちで選びたいっていう、新婚夫婦の気持ちも考えてくださいよ」

ため息交じりに発した千秋さんの言葉を、菊乃さんは見事に聞き流した。

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