跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
検診を終えて、ほっとしながら外に出た。柔らかな春の日差しに、目を細める。

「順調でよかった。ね、千秋さん」

「ああ」

赤ちゃんの成長に問題はなく、私の体重管理も褒められて一安心した。

帰り道、ずっと我慢してきたケーキを今日だけ解禁してやると俺様口調で言いながら、優しい旦那様が人気の店に立ち寄ってくれる。

早く食べたい一心でそわそわする私をおかしそうに見てくるが、少しも気にしない。
帰宅していそいそとお皿を用意する私の横で、千秋さんが紅茶を淹れてくれる。

「いただきます!」

おいしいと連呼しながら食べていると、「ほら」と千秋さんが自分のケーキをひと口差し出してくるから、遠慮なく彼のフォークにパクつく。
そんなふうに甘やかされているうちに、彼のケーキも半分近く私が食べてしまったのは許してほしい。もうずっと我慢してきたのだから。

「おいしかったあ」

満足してふうと息を吐いて、ソファーにどさりともたれる。

「さてと、愛佳」

久しぶりのケーキと、いつになく優しい千秋さんにすっかり油断していた。

「な、なんでしょうか……」

場を仕切り直すように体を私の方へ向けた千秋さんに、首を傾げる。〝さてと〟の響にどこか不穏なものを感じたのは気のせいだろうか?

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