跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
「愛佳」

甘い声と肌に伝わる息遣いに、体が小さく震える。

「愛してる」

私が不安にならないように、千秋さは何度もこの言葉を言ってくれるようになった。
嬉しさに滲んだ涙を隠すように、額を離して千秋さんに力いっぱい抱き着く。この人は私だけのものだと主張するように、彼の背に回した腕にぐっと力をこめる。

くくくと笑いをこぼしながら、千秋さんも抱きしめ返してくれる。そうしているうちに、大きな手が私の背中を這い出した。

そういえば、ベッドで私から行動を起こしたことはあっただろうか?

そっと体を離して見上げると、千秋さんは「どうした?」と首を傾げた。無防備になっている今ならいけると、えいっと体を伸ばす。まるでぶつかるような勢いで、彼の唇に自身のそれを重ねた。

わずかに目を見開く千秋さんを見て満足はしたものの、そこからどうすればよいのかを考えていなかった。途端に恥ずかしくなって、彼の胸元に額を押し付けてごまかしていると、頭上から「かわいいやつだな」と小さなつぶやきが聞こえてほっとした。

が、そんな平穏さはすぐに霧散する。

「さてと、存分にかわいがってやるか」

どうやら私は、なにかのスイッチを入れてしまったらしい。

もちろん無茶はされなかったが、長い時間をかけて私を溶かしていく千秋さんはどこか楽しそうで、やっぱり意地悪だ。

でも、それを幸せに感じてしまうあたり、私はすっかり彼に溺れているのだろう。

「大好き」

隣に体を横たえた千秋さんに腕を巻き付けると、「相変わらず、かわいいことを言ってくれるな」と言いながら抱きしめ返される。
それに満足して彼の胸元に頬ずりする私に、「調教完了」という物騒なつぶやきなどいっさい届かず、幸福感に包まれながら眠りについた。


END
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