跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
しばらく呆けてしまったが、我に返って急いで階下へ向かう。
ロビー脇にある喫茶店でのんきにコーヒーを飲んでいた父を見つけると、無言で連行した。

外に出て開口一番に結婚すると告げたところ、心底驚いた顔をされる。自分が持ち込んだ話だというのに、おかしな反応だ。やはり父こそ、まったく覚悟ができていなかったのだろう。

この人と千秋さんとでは格が違うのだと、改めて感じさせられた。

行きは豪華な食事を楽しみにしながら、満開の桜並木を足取り軽く歩いてきたというのに、帰宅する今は周りの景色を見る余裕もなくひたすら無言だ。これからどうなってしまうのだろうかと、不安しかない未来に幾度となくため息が漏れた。






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