跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
「まあ、愛佳ちゃんったら目元が妙ちゃんにそっくり。こんなかわいいお嬢さんが嫁いで来てくれるなんて、嬉しいわ」

妙ちゃんというのは、私の亡くなった祖母、妙子(たえこ)のことだ。ふたりは本当に親しかったようで、菊乃さんはその孫である私を手放しで受け入れてくれた。

私も、明るい彼女をひと目で好きになった。及川不動産の元社長夫人という地位をひけらかさず、年齢に関係なく対等に接してくれる菊乃さんだから、きっとたくさんの人に慕われているに違いないと感じたのは当たっていた。

とにかくパワフルな彼女は、週に何日もお付き合いで外出をしているようだ。そうでない日も、自宅に友人らを招いてパーティーを開く日もあるのだと話していた。

「うちの孫ったら、こんなに厳つい目つきに体つきで、ちょっと怖い感じでしょ?」

本人を前にしてここまで言えてしまうのは、実の祖母だからだろう。さすがにはっきりと肯定するのは失礼で曖昧に流したが、本心では同感だ。
千秋さんも彼女には敵わないのか、苦笑しながら聞いている。

「でもね、仕事は間違いなくできるし、こう見えてもなかなか優しいところもあるのよ」

私はまだ優しさの方をあまり見ていない気がするが、嫌だと思う相手ではない。

「褒められてるんだか、貶されてるんだか」

「あら、褒めてるに決まってるじゃない。なんたって、あなたは私の唯一の孫だもの」

なんだかんだ言って、ふたりの仲はよさそうだ。
< 24 / 174 >

この作品をシェア

pagetop