跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
「愛佳」

身に着けていたすべての衣類を脱いだ千秋さんが、視線を合わせてくる。

「愛佳、お前を俺にくれるか?」

ここにきてそんなふうに聞いてくるなんて本当に意地悪だと、朦朧とした中で思う。首を振って同意すると、千秋さんがさらに尋ねてくる。

「避妊をするつもりはない。いいな?」

もともと、子どもを作るという会話からはじまったのだ。そこに覚悟があるとかないとか、もうわからなくなっているけれど、相手が千秋さんなら大丈夫だとなぜか確信していた。
私の髪をひとなでした千秋さんは、ゆっくりと私の中を支配していく。

「痛っ……っ……」

初めての痛みに、千秋さんにしがみつく自分の手に力が入る。

「んん……」

常に私の様子をうかがいながら、時間をかけて先へ進めていく。痛みに顔を歪ませればすぐに動きを止めて、励ますように口づけられる。

それでも怖さはなくならなくて、瞳をぎゅっと閉じて歯を食いしばるようにして耐えていると、頬に触れた彼の手がそのまま胸元に伸びていく。

それに気を取られているうちに、私と千秋さんの距離はなくなっていた。
やっとひとつになれたとき、お互いの素肌は汗でしっとりとしていた。

「大丈夫か?」

痛みが落ち着いた頃を見計らって、肩肘をついた千秋さんが髪をなでながら尋ねてくる。その手に、そっと自身の手を重ねた。

「うん」

私を気遣いながら、ゆっくりと動き出す。痛みはすぐにはなくならないが、少しすると徐々に薄れていった。代わりに、先ほど覚えたばかりの快感をおぼろげに拾いはじめる。

< 80 / 174 >

この作品をシェア

pagetop