桜が咲く頃に、私は
「あんたと付き合ってた時はいじめもなかったのにね。学校祭で、客に平気で喧嘩売る不良の家出少女が彼女だったら、そりゃあいじめる方も躊躇するよね。仕返しされたくないからさ」


……私ってそんな風に周りから見られてたんだ。


でもまあ、広瀬に呼び出されて告られた時も、喧嘩するつもりで翠と一緒に体育館裏に言ったからなあ。


翠が言うくらいだから、他の人にそう思われてもおかしくないか。


「……私はもう、広瀬に関わっちゃダメなんだよ。広瀬が乗り越えなきゃならない問題だし、それに……」


と、私がそこまで言った時、深沢が箸を私のパンに突き刺して、ひょいとすくい上げるとそれを口に運んだのだ。


「あのなあ、そういう悲劇のヒロインぶった自己陶酔はいいんだよ。ついでに言えば、広瀬と桜井がよりを戻そうが戻すまいがどうでもいい。むしろもう無理だろ! いい加減シャキッとしろよ! そんな死んだ魚みたいな目しやがってよ!」


励ましてるのか追い討ちをかけてるのかどっちだよ。


「まさか豚足ちゃんにここまで言われるとはねぇ。早春、いつまでも逃げてちゃ前に進めないよ」


「誰が全身豚足だよ!? お前らも笑ってんじゃねぇよ!」


こんな騒がしい感じで、結構重要なことを話したりするんだよね。
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