桜が咲く頃に、私は
人生を無駄にしないように過ごす……と言っても、それは難しい。


私は勉強が得意じゃないし、だから授業もさっぱりで。


それに、半年後に死ぬのなら、この授業ですら意味があるとはとても思えないから。


学校を辞めてもいい……けど、辞めたところで私にはやりたいことも、やらなければならないこともなくて。


仮に、将来の目標なんてものがあったとしても、私にはなんの意味があるのだろうか。


天川空……あんたは、たった半年で何をしようとしてるわけ?


私にも教えてよ。


たった半年で、私は何をするべきなのかをさ。


授業中、ずっとそんなことを考えていて、気付けばまた、広瀬を見ている。


クラスの弄られ役、クラスメイトのパシリなんて、不名誉な称号を付けられているのは知っているし、女子にさえバカにされているのに。


なんで私なんかを好きになるのかね。


よくわからなくて、フウッとため息をつき、早く授業が終わらないかなと机に突っ伏した。


これから何をするべきなのかを考えながら。


そして、これまでの人生のことを思い出しながら。


あまりにも中身のない人生で自分に呆れるけど、きっとこのまま中身のない半年になるんだろうなということは容易に想像出来た。
< 20 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop