桜が咲く頃に、私は
桜が咲く季節まで生きたいと願って、その中の通り、早春に生まれて、早春に死んでしまったお姉ちゃん。
私は……頑張ったよ。
心の中にいるお姉ちゃんは、満足してくれたかな。
もう……思い残すこともない。
精一杯生きて、お兄ちゃんとお姉ちゃんが遺してくれた想いは、私の想いと一緒に、家族が受け継いでくれる。
遺された人達の中にまた、私達が生き続けて。
『良く、頑張ったな。夢』
懐かしい声が聞こえる。
ああ、私が大好きだったお兄ちゃんの声だ。
『ずっと、私達に居場所をくれてありがとうね。さあ、おいで』
お姉ちゃんの声も聞こえる。
目を開けると、私を覗き込むようにして笑っている二人の姿。
お姉ちゃんが伸ばした手を掴もうと、必死に手を上げる。
「迎えに……来てくれたの? もう、やだなぁ。私だけこんなおばあちゃんなんて……」
『何歳でも、夢は夢だろ。いつになっても、あの口うるさかった中学三年生の夢だよ。俺達の夢はさ』
「かな……わ……ないな……お兄……ちゃんに……は……」
やっとの思いで伸ばした手が、お姉ちゃんの手に触れた。
不思議と、不安はなかった。
あの日、お兄ちゃんとお姉ちゃんは、死ぬことを悲しんだだろう。
不安に押し潰されそうな中で、その命が尽きたのだろう。
でもね、私は違ったよ。
二人からもらった想いや、沢山の愛のおかげで、私は不安も悲しみもなくなるくらいに生きることが出来たから。
『じゃあ行こうか。もう泣くんじゃないぞ。夢』
お兄ちゃんとお姉ちゃんに手を引かれ、私の魂は中学三年生の頃の姿になっていた。
何もかもあの時のままで。
私は、私の愛する家族に見守られて。
そして、私の家族だった大切な人達に迎えられて。
桜が咲く頃に、私は……永遠の眠りについた。
おわり
私は……頑張ったよ。
心の中にいるお姉ちゃんは、満足してくれたかな。
もう……思い残すこともない。
精一杯生きて、お兄ちゃんとお姉ちゃんが遺してくれた想いは、私の想いと一緒に、家族が受け継いでくれる。
遺された人達の中にまた、私達が生き続けて。
『良く、頑張ったな。夢』
懐かしい声が聞こえる。
ああ、私が大好きだったお兄ちゃんの声だ。
『ずっと、私達に居場所をくれてありがとうね。さあ、おいで』
お姉ちゃんの声も聞こえる。
目を開けると、私を覗き込むようにして笑っている二人の姿。
お姉ちゃんが伸ばした手を掴もうと、必死に手を上げる。
「迎えに……来てくれたの? もう、やだなぁ。私だけこんなおばあちゃんなんて……」
『何歳でも、夢は夢だろ。いつになっても、あの口うるさかった中学三年生の夢だよ。俺達の夢はさ』
「かな……わ……ないな……お兄……ちゃんに……は……」
やっとの思いで伸ばした手が、お姉ちゃんの手に触れた。
不思議と、不安はなかった。
あの日、お兄ちゃんとお姉ちゃんは、死ぬことを悲しんだだろう。
不安に押し潰されそうな中で、その命が尽きたのだろう。
でもね、私は違ったよ。
二人からもらった想いや、沢山の愛のおかげで、私は不安も悲しみもなくなるくらいに生きることが出来たから。
『じゃあ行こうか。もう泣くんじゃないぞ。夢』
お兄ちゃんとお姉ちゃんに手を引かれ、私の魂は中学三年生の頃の姿になっていた。
何もかもあの時のままで。
私は、私の愛する家族に見守られて。
そして、私の家族だった大切な人達に迎えられて。
桜が咲く頃に、私は……永遠の眠りについた。
おわり