双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
じゃあいったい誰が……。

その疑問を片付ける前に、私にはやらなければいけないことがある。

「疑ってしまってすみませんでした……」

深々と蒼斗さんに向かって頭を下げた。

「頭を上げてくれ。四年前、父が柚希に会いに行き別れるように圧力をかけた事実は変わらない。そのいきさつがあれば、誰でも父を疑いたくなるさ」

蒼斗さんは今回も私を責めなかった。理解を示してくれたことになんとも言えない気持ちになって視界が滲む。

「嫌がらせがこれ以上エスカレートしないことを願うが、こちらでもいろいろ調べてみる。柚希もひとりで行動することはなるべく避けてくれ」

「分かりました」

「それから明日からしばらくここの護衛を頼むことにした。防犯カメラの手配も済んでいる。俺もなるべく早く帰るようにするから」

私の不安を取り除こうと、この数時間いろいろ掛け合ってくれていたんだ。

四年前よりも一段と頼もしくなった彼。彼のまっすぐな想いが、私のなかで諦めかけた未来への希望を繋ぎ止めてくれている。

「大丈夫だ。俺が必ず柚希たちのことを守るから」

蒼斗さんが力強く私を抱きしめた。

そっと蒼斗さんの背中に手を回す。

見えない敵の正体に怯えながらも、彼の優しさと強さに守られていることを実感して思った。

この手を二度と離したくはない。

ずっと彼のそばにいて、これから四人で歩んでいきたい。

そのために私自身も強くならなきゃ。
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