絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 向かいから声をかけられて見上げたら、レリウスさまもちょうどデザートを食べ終えてフォークを置いていた。目にしたわたしは、ピョコンと穴から引っ込んで、テーブルの下をテテテッと駆け、レリウスさまのお膝に乗り上がった。
 レリウスさまの食事中にはじゃれつかないのがマイルール。だけど、食べ終わったのなら話は別だ。
《みゃあっ(大満足ですとも!)》
 お膝にのって甘えるわたしの頭にレリウスさまはポンッと手をのせて、ふと気づいたように口にする。
「そうか、よかったな。……ん? また口にクリームを付けているぞ」
 レリウスさまは親指の腹でわたしの口の端を拭った。レリウスさまの指にくっ付いたクリームを目にし、わたしはすかさずペロンと舐めた。
 ちょっとクリームの味がする……うまっ。
「はははっ、いい子だ。ルーナ」
 へへへっ。しかも褒められちゃって、二重にラッキー。
 ユーグさんは食後の紅茶を飲みながら、わたしとレリウスさまのやり取りを見つめていた。その目が最初の探るようなそれに比べ、ずいぶんと穏やかに感じられた。
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