絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 ルーナに幸せでいてほしいのと同じで、俺はルーナを彷彿とさせるあの少女にも、幸せでいてほしいと思うのだ――。
「……こう考えると、俺が少女のことをこんなに気にかけているのも、結局のところ出発点はルーナなんだよな」
 ポツリとつぶやきながら、自ずと口もとが綻んだ。
「だが、俺の生活の中心がルーナなのだからそれも道理か。ルーナに振り回されるなら本望だ」
 ふわふわの小さな体。かわいい鳴き声に、俺を見るとご機嫌に揺れだす長い尻尾。俺を見つめる宝石みたいな紫の瞳や、必死に俺に縋るぷにぷにの肉球がついた短い前足。どれもこれもが愛しくて仕方がない。
 たまに見るご機嫌斜めの様子や、怒って繰り出すネコパンチだってかわいらしく、俺の目を釘付けにしてしまう。
「そういえば、今朝のルーナはいったいなんだったんだ? 突然、俺の頬に肉球を押し付けたと思ったら、背中を向けて駆けていってしまったが……」
 ふいに、ルーナとの朝のひと幕が脳裏を過ぎった。
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