絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 もう一台は救護車で、コリンとアックスの他、二名の隊員が車内で負傷した体を横たえている。
 コリンから罪の告白があったことは、既にユーグから報告を受けた。コリンは、もう一名内通者がいる可能性を伝えてきたらしいが、そちらはグレス書記官の嘘だったようで、該当者はいなかった。
 コリンの正式な処分は保留になっているが、彼を犯行に走らせた事情が事情だ。俺個人としては、無罪放免で構わないと思っている。妹の捜索については、征伐成功の一報を携えて先発した隊員が施設に残る騎士たちに要請する手筈になっており、じきに発見されるだろう。
 そのコリンも含め、隊員らの傷はいずれも急所を逸れていて、全員命に別状はない。あの状況から一名も欠けることなく、生還できたことは不幸中の幸いだった。
 そして、窮した戦況から部隊を救い、この結果に導いたのは他でもないルーナだ――。
 そのルーナはといえば、照れているのだろう。いまだ俺の腹にバフッと顔を埋めたまま、微動だにしない。
 俺は恥ずかしがり屋の新妻の頭をサラリとなでながら囁いた。
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