絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
「かわいい奥さん、少し体の力を抜いて楽にしてはどうだ? 道中ずっとそれでは、体が凝り固まってしまうぞ」
 ルーナは俺の声でもぞもぞと身じろぎ、ゆっくりと顔を上げると、眉をハの字にしてなにごとか訴える。
《ふみゃみゃっ(レリウスさま。お願いだからこれ以上、ユーグさんの神経を逆なでするようなことを言わないでっ)》
「どうしたどうした? まだ口吸いのことを恥ずかしがっているのか。かわいい奴め」
 困り顔のルーナがかわいくて、いとしくて堪らない。ふわふわの毛で覆われた頬をツンツンと突きながら、口もとが緩むのを止められなかった。
《ふみゃふみゃっ(レリウスさま、本気でやめてぇえ! ユーグさんが怖いから! ブツブツが明らかに大きくなってる! どうしてアレを無視できるのよぉお~! アレを見てってば!)》
 ルーナは俺の手から逃げるように体を仰け反らせ、震える前足で少し後ろを走行するユーグを指差した。
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