絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
「甘く見るなどと、馬鹿を言うな。お前のことはいつだって頼りにしている」
「嘘をおっしゃい! あなたに同行した隊員らがワーグナー筆頭大臣を連行して戻ってきたというのに、肝心のあなたがいつまで経っても戻ってこない。私はやきもきしながら待っていたんですよ!? そうしたら、あろうことかあなたは日も昇りきってからひょっこりルーナを抱いて帰ってきて、にやにやしながら開口一番『ルーナと夫婦になったぞ』とぬかしやがったんですよ……!? これこそ、この上無く人を馬鹿にして、甘く見ているなによりの証拠でしょう!!」
 ユーグがグワッと牙を剥いて迫る。
 ぐうの音も出ないとは、きっとこういうことを言うのだろう。俺の副官は時に、閻魔王も真っ青になるくらい恐ろしいのだ。
「す、すまん」
 ユーグの迫力に圧され、腰が引け気味になりながらなんとか詫びを告げる。ついでに、浮かれた気持ちのまま発したあの時の第一声を、今さらながらに悔いた。
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