絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 レリウスさまは目が合った相手を視線だけで射殺してしまいそうな顔面凶器。しかも、他人の目がある場所では、終始厳しい態度を崩さない。……ユーグさんの前でだけはちょっと例外な雰囲気だけど、まぁそれはそれ。
 とにかく、そんな彼が今は目尻を下げ、口もとを緩ませてわたしを見つめている。これは、ペットのわたしだけが知っている彼の顔――。
 嬉しい感情に衝き動かされ、ペロルを持つ彼の手とわたしを覗き込む彼の頬をペロン、ペロンと順番に舐めた。
 レリウスさまはちょっと驚いたように目を見開いて、次いでふわりと細くした。
「ルーナ、お前はかわいすぎていかんな。俺はお前に乞われたら、どんな願いでも聞き入れてしまいそうだ」
《ふみゃぁあっ(えっ!? それならペロルをもう一個、……いやいや一個と言わずどっさりちょうだいっ!)》
 耳にした瞬間、目を輝かせてここぞとばかりにおねだりをしてみせるわたしに、具体的な意味は通じていないはずなのレリウスさまは苦笑してコツンとわたしの頭を優しく小突いた。
 アテッ。
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