絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
「おかしな……? いいや、ルーナはおかしいどころか、これ以上ないくらいかわいいぞ」
 真顔で答える俺に、ユーグはなぜかこれ見よがしなため息をつく。
「では、夜はどうですか? 宿では夜中にルーナがいないと言って大騒ぎをしていましたが、昨夜のルーナはちゃんと寝床にいたのですか?」
「……ん、夜か」
 この質問に、俺は言い淀んだ。
 一昨日の晩、ルーナが宿の客室から姿をくらまし、俺はひと晩中彼女を探し回っていた。翌朝になるとひょっこり長窓から帰って来たので、俺は安堵の胸をなで下ろし、少し冷えたルーナの体を抱きしめ温めてやった。
 ネコは元来、気ままで気分屋なのだと同行する部隊員に聞かされたこともあり、あの晩はたまたま外の空気が恋しくなったのだろうと納得もした。ところが、ルーナは昨夜もピッタリ同じ刻限に再び姿を消したのだ。
「まさか、ルーナはあなたの屋敷でも夜にまた姿をくらましたのですか?」
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