絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 ユーグさんは長い間を置いてから、ちょっと遠い目でこんなふうに答えた。
「そうだろう。満足してもらえたならよかった。それから今、ルーナにも伝えていた通り、うちのシェフはデザート作りの腕も確かだ。タルトの方もうまいぞ」
「それは楽しみです」
 ひと通りなでてもらって満足したわたしは、レリウスさまの手からスッと頭を引いて、穴の中にすっぽりとお行儀よく座り直した。
「時にレリウスさま、ワーグナー筆頭大臣の動向に関して続報が入ってまいりまして――」
 そこからふたりの会話は、わたしの知らない話題に移った。
 わたしはふたりから、目の前のフルーツタルトに意識を集中させた。
 ……なにこれ。まるで宝石箱みたい!
 スイーツは、お肉にだって負けないわたしの大好物だ。しかも改めて見た目の前のタルトは、目も眩むほど豪華だった。
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