一途な部長は鈍感部下を溺愛中



そう。そこが無い。と、いうか。


「……私が避けまくってマス」


顔を両手で覆い、自白すると、ゆかりがますます呆れた顔になる。


「なんでよ」

「いやだって……は、恥ずかしくて」


あの会議室での一件から、一週間と少し。

私は次の日から、部長と目が合うだけで、黒歴史もかくやというあの日の痴態を思い出してしまい、平静では居られなかった。


だから多分、顔を真っ赤にしながら私は部長から逃げ回っているのだけど、今のところ目が合えば微笑むだけで、そのことについて何かを言われたことは無かった。


こんな状況で、「私と部長って今どういう関係ですか?」なんて聞けるわけが無い。


私の話を聞いたゆかりは、ふうん、と気のない返事をした。


「ま、どっちにしろやっぱり惚気ね」


そして、つまらなそうな目をしながらバッサリ斬られてしまい、私は撃沈するのだった。


そしてまた週が明け、いい加減自分の態度を直さなきゃ……せめて仕事中は目を見れるくらいに……と思いながら出勤する。


今日こそ頑張ろう、と思いながらも、足はいつも人事部へと続くドアの前で止まった。



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