一途な部長は鈍感部下を溺愛中
今日は会議もなくてずっと座りっぱなしだったから腰がちょっと痛い。ついでに散歩もしようかな。社内をぐるぐる歩くだけだけど。
うーん、と、誰も見てないのをいい事に背伸びをしながら廊下を歩く。
「……ん?」
ふと、少し離れたところに何かが落ちているのが見えた。
周りを見回すけれど、人気は無い。
そのまま見ないふりをするのもなあ、と近づけば、それは何かの書類のようだった。ここを通った人が落としてしまったのかもしれない。
「西村佑真……総務の人だったかな」
所属柄か、なんとなく大体の人の名前は覚えている。西村さんについては総務と人事で関わりも多いから、よく覚えていた。……と言っても、そんなに話したことは無いんだけど。
散歩ついでに届けてこようかな。
そう思い、総務部に向かって足を踏み出した。
「お疲れ様ですー……」
総務は社内外問わず来客が多いからか、ほかの部署のように磨りガラス窓の扉ではない。中の様子がよく見えるように、また、入室しやすいように自動ドアだった。
自動ドアを潜り、一番手前にいた女の人に声を掛ける。もう長くこの会社にいる人で、いつもニコニコしている良い人だ。私は総務に用があると、いつもこの人に話しかけてしまう。