一途な部長は鈍感部下を溺愛中
今日も私の声に気付いて、笑顔で声を掛けてくれた。
「あら、珍しいわね。こんにちは。どうしたの?」
「こんにちは。すみません、先程拾い物をしまして。……確か、総務の方だったかな、と」
そう書類を見せると、「あら!」と声が上がった。
そして、少し離れたところで作業をしていたらしい男の子の背中に向かって「西村くーん」と声を掛ける。
「あなたの探し物、届けてくれたわよ〜!」
「えっ!?」
あ、やっぱり探してたのか。そう思うと同時、ぐりんと男の子の顔がこちらを向く。
黒曜石色をしたまん丸の目は、私を捉えると更に丸くなった。
そして、手に持っていたファイルをスライドロッカーにしまうと、慌てたようにパタパタと駆けてくる。
「佐藤さん!」
「あ、あの……これ、上のフロアで拾ったんです」
私の名前知ってたんだ、なんて思いながら書類を渡すと、彼はそれを覗き込んで、ぱあっと顔を明るくした。
「うわ〜! ありがとー! 今ちょうど探してて……!」
良かったあ、と眉を下げながら笑う西村さんに、届けに来てよかった、と嬉しくなる。