一途な部長は鈍感部下を溺愛中



私のこともまるで娘のように可愛がってくれて、よくこうして心配してくれる。──そんな彼の席も、一年前までは別の女の子が座っていた。


純粋に異動して来た順で言えば、井上さん、横山くんの次に私で、その後に戸田さん、松下さんと続くのだけど、戸田さんも松下さんも過去に人事の経験があるそうで、私はそんな二人にも頼りっぱなしだ。


私はと言えば、大学卒業後に入社した会社が合わず一年も経たずに辞め、派遣社員としてこの会社の受付業務を担当していたのだけど、有難いことに会社から声をかけて頂いて、正社員として二年前にこの人事部に配属された。


本格的な事務仕事は殆ど初めてで、年齢だけで見ればアラサーに片足突っ込んでいるのに、パソコンの扱いも覚束ず、毎日必死だ。


そんな私にも皆優しくて、東雲部長も見捨てないでくれている。だからこそ、頑張って仕事を覚えて皆に報いたい。


……頑張らなくちゃ。


ひとつ深呼吸し、私は松下さんに貰ったメモを見つめながら、受話器を持ち上げた。







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