一途な部長は鈍感部下を溺愛中
だけど、怜悧な双眸がどこか不機嫌そうに鈍く光っている。
どうしてここに。
驚いて、ぽかんと開いた口が塞がらなかった。西村さんも後ろを振り向いて「えっ、東雲部長!?」と素っ頓狂な声を出している。
そんな私たちに部長はにこりと微笑み、ずんずんと中へ入ってくると、西村さんのこと見えてないの? と訊きたくなるような勢いで真っ直ぐに私の前まで来た。
そしてそのまま、手首を包み込むように腕を掴まれる。
「居るよな、恋人」
「え、」
聞こえてきた単語にハッと顔を上げると同時、掴まれた腕をくんと引っ張られた。
そのまま、身体が部長の方へと倒れ込む。
「悪いな。この子にはもう相手がいるから、諦めてくれ」
部長は、私を抱きとめながらそう言った。
西村さんは瞳がこぼれ落ちてしまうのではないかと心配になるほど目を見開いて唖然としていたし、いい匂いのする胸板に頬を押し付ける形になった私も、心臓が止まりかけていた。いや、一瞬止まったと思う。
それぞれの理由で固まる私たちを歯牙にもかけず、部長は私の肩を抱き込むようにしたまま、給湯室から私を引きずり出しす。