一途な部長は鈍感部下を溺愛中
そしてそのまま暫く廊下を進まれ、やっとのことで放心状態から蘇生された私は、慌てて部長の胸板を押した。
ここまで他に誰も居なかったから良かったけど、こんな所を他の誰かに見られたらとんでもない。恥ずかしさのあまり死んでしまう。
軽く押しただけで、簡単に部長は私を離してくれた。と、思ったが、腕が掴まれたままだった。
立ち止まり、部長は私を見下ろす。
先程まで辛うじて笑みを携えていた口元も今は真一文字に結ばれ、何かを訴えるような、こちらを詰るような視線がジリジリと私の顔を焼くようだった。
「し、東雲部長……」
「……正直、言いたいことも聞きたいことも山ほどあるが」
喉の奥で獣が唸るような声にびくりと肩が震える。
「……まだ、仕事中だからな。俺もこの後また会議だし……」
溜息をつきながらガシガシと首裏を搔きながらそう言った部長に、思わずホッとしてしまった。
しかし、そんな私を見透かしたように掴まれた腕をぎゅっと握りこまれる。
ひぇ、と悲鳴を上げると、部長が薄く微笑んだ。
「なあ、今日の仕事終わり時間あるか?」