一途な部長は鈍感部下を溺愛中
確かに君は彼女として物足りないな。もっとこうして欲しい。──なんて、例え思っていたって、この優しい人が言う筈ない。
何も言わない私に部長は体を離し、そして眉を下げて笑った。
「その顔、信じてないな?」
「いえ、その……」
信じてません、と堂々と頷くことも出来ず口ごもる。
すると、部長が私の後頭部に手を当て、その綺麗な顔をすいと寄せてきた。
「ッ、?」
びっくりして、反射的に目を瞑ってしまう。
まさかこんな所で!? と、まだ数える程しか経験のない柔らかい感触を思い出し、しかし、身構えた温度はいつまでも唇に落ちてこなかった。
やがて降ってきたのは額への感触と温度で、恐る恐る目を開くと、色素が薄く長いまつ毛が飛び込んでくる。
神秘的な光を閉じ込めたふたつの宝石が、柔らかく潤んだ。
「ただ、君がそこに居てくれるだけで、十分なんだが……本当に」
どこか、途方に暮れたような声だった。
「それだけじゃ不安か? 俺から離れないでいてくれるなら、他に望むことなんて何も無いよ」
すり、と額が擦り付けられ、至近距離でジッと見つめられる。