一途な部長は鈍感部下を溺愛中
不安なんて、吹き飛んでしまった。
甘さを滲ませた切ない声が、心の底からの言葉だと分からされてしまったから。本当に、そこに居るだけでいいと思ってくれてるんだ。そう思うと、むず痒いような恥ずかしさがじわじわと身を蝕んでいく。
動揺して視線をうろつかせていると、眦を不意打ちのようなキスが襲う。
柔らかい唇が押し付けられ、そこが羞恥の限界だった。
「わ、分かりました……!」
距離を取るように胸板を押す。いつの間にか両腕が背中に回されていて、緩く抱き締められたまま、向かい合うような形になってしまった。
「すみません、もう言いません」
「それは助かるが、また不安になるようならすぐに言ってくれよ? 抱え込まれるよりは全然いい」
「き、肝に銘じます……ので! 少し離れて……欲しい、です……!」
やや強めにお願いすると、ちょっと残念そうな顔で放され、そして。
「残念」
赤い舌が悪戯っぽくちろりと覗き、その余裕そうな顔に私は唸るのだった。
……どう足掻いても、彼の掌の上で踊らされている。