一途な部長は鈍感部下を溺愛中





「……誘うのが遅くなってしまったが、25日は空いてるか?」


東雲部長にそう訊ねられたのは、マフラーが手放せなくなってきた12月中旬のある日だった。


クリスマスだ! とドキドキしながらブンブン頷く。そんな私に、部長はホッとしたように笑った。


「良かった、もっと早めに誘うつもりが柄にもなく緊張してしまって……」

「緊張?」

「ああいや、なんでもない。当日は平日だから、仕事が終わってから食事に行こうか」


嬉しい。

そっか、クリスマスはいつもゆかりと遊ぶか、一人寂しくコンビニスイーツを食べるかの二択だったけど、今年からは恋人と過ごす選択肢が増えるんだ……。


ニヤけそうになる口元を白いマフラーで隠しながら、残業するなよ? と冗談っぽく小首を傾げる部長に頷いたのだった。




クリスマスの日はあっという間に到来した。今日は仕事納めでもあり、明日から年末年始休暇に入る。


午後は全社を挙げての大掃除で、残業どころか少し時間に余裕があるくらいだった。


年始に向けての仕事を片付けながら残りの時間を過ごしていると、ふ、とデスクに影が落ちる。

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