一途な部長は鈍感部下を溺愛中
一連の流れをボケっと見ていると、最後に軽く撫でるように頭を叩かれる。
「よし、行くか」
そのまま手を取られ、部長はまだ半分フリーズしている私を若干引きずるように歩き始めた。そして、まだ残っている他のメンバーに満面の笑みで振り返る。
「じゃ、俺達はお先に! 悪いが戸締り頼むな、良いお年を!」
そして、私が「お先に失礼します」といい切る前に背後で扉が閉まり、その刹那「……めっちゃ浮かれてるじゃん」とげっそりした横山くんの声が聞こえてきて、恥ずかしくなった。
手を繋がれたまま廊下を歩くせいで、すれ違う人々から好奇の目を向けられる。
噂になっているとはいえ、まだ私達の関係に半信半疑な人達も居れば、当然噂自体を知らない人もいる。今日は最終日だからか、定時で帰る人も多く、いつもより沢山の人とすれ違った。
その中で、私と部長の距離感を見てギョッとしていたり、顔を青ざめさせている女の子たちなんかもいて、段々と居た堪れなくなる。
繋がれた手を軽く揺らすと、きょとりとした瞳がこちらを向いた。
「あの……手……」
恥ずかしいから離して欲しいな、という意味を込めて琥珀色を見つめ返してみる。