一途な部長は鈍感部下を溺愛中
やがて窓際の特等席に案内され、ドラマで見るような夜景に目を奪われる。
「綺麗……こんな所に連れてきてもらったの、初めてです……ありがとうございます」
眼下に広がる光の海をぼんやりと眺めながら、素直な嬉しさを口にして、向かいに視線を移しお礼を言うと、部長は嬉しそうに破顔した。
「瑞稀、ワインは呑めるか?」
不意に呼ばれた名前にドキ、と心臓が脈打つ。
付き合い始めてから、二人きりの時は名前で呼ばれるようになった。でも、甘く響くような自分の名にまだ馴染まず、いつも心臓が煩くなってしまう。
「少しなら……そんなに強くは無いです」
「なら、辛くないものにしようか」
部長がそう僅かに視線を動かしただけで、どこからとも無くスタッフがやって来た。
舌が縺れそうな名前が薄い唇から紡がれ、スタッフが頭を下げて下がる。
ふと、その双眸が悪戯めいた色を宿した。
「どうした、ボーッとして」