一途な部長は鈍感部下を溺愛中


そんな部長の唇がまたも重くなったかのように開かなくなってきたのは、料理も残すところスイーツのみとなった頃だった。


それまでくるくると表情を変えながら楽しげに場を盛り上げてくれていた部長だったけれど、ふと会話が途切れたところで段々と顔を強ばらせた。


その、あまり見ることの無い緊張した面持ちに、こちらも釣られてぎこちない心持ちになってしまう。


とうとう無口になってしまった部長と、密かに狼狽える私。


そんな私たちの微妙な空気をかき混ぜるように、最後の一品がやって来た。


「お待たせしました。こちら、アマレナチェリーのクラシックティラミスでございます」


ことりと置かれた小さなお皿。
ココア色の絨毯に、一粒の宝石のようなさくらんぼがつるりと光を弾きながら鎮座している。


周りには金粉も散りばめられ、食べるのがもったいない! と思いつつも、満腹だったはずのお腹がきゅるると騒ぎ出した。……甘いものは別腹ってやつだ。


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