一途な部長は鈍感部下を溺愛中
「すごく嬉しそうだな」
食べてもいいかな? と小さなケーキフォーク片手にあちこちからケーキを眺めていると、そう声が聞こえて顔を上げた。
見ると、部長が目尻を緩めながらこちらを見つめている。
美味しそうなスイーツに、内心はしゃいでいたのがバレたようで、ちょっぴり恥ずかしくなって目を伏せながらこくりと頷いた。
「甘いものに目がなくて……」
「そうなのか? なるほど、それはいいことを聞いたな」
「……?」
ニコニコと何故か楽しそうな部長。
なぜそんなに笑顔なのかは分からないけど、少し怖いくらいだった先程までの固い表情も、いつの間にか和らいでいる。
まあいっか、と改めて目の前のご褒美に向き直ったけれど、私はそのココア色にフォークを突き立てる寸前で、またちらりと視線だけを上げた。
「……あの、部長は食べないんですか?」
何故か組んだ手に顎を乗せて、ニコニコ笑顔のままこちらを見つめ続けている部長。
「うん? 食べるが、君が美味しそうに食べてるところも見ていたいんだよなあ」
「ええ……!?」
そんなしみじみ言われても……!
「は、恥ずかしいし食べにくいですから」