一途な部長は鈍感部下を溺愛中
辛うじて微笑みは絶やさないでいる。けれど、リラックスには程遠い表情だった。
「ま、ゆっくり味わってくれ」
その表情に疑問を覚えて問いかけるよりも先にそう促され、視線が外されてしまう。私は心の中で首を傾げながらも、部長の言葉に甘えて続きを楽しむのだった。
甘いティラミスはあっという間に別腹に消えていき、殆ど同時に部長も食べ終えたようで、ナプキンで口元を拭っている。
やがて、ひとつ息をつくと顔を上げ、真剣な色を宿す澄んだ瞳が私を見つめた。
「さて、渡したいというのは君の考えている通り、クリスマスプレゼント……に、託けた贈り物だ。その様子だと瑞稀も俺に何か用意をしてくれてるみたいだな」
「は、はい」
「……先に、見せてくれないか」
「えっ?」
思わず聞き返すと、「駄目か?」と甘えるような声で聞き返された。
別に、ダメでは無い。自分なりに一生懸命選んではみたけど、部長のセンスに敵う自信はなかったから、先に渡せてしまうならそれはそれでありがたい。
でも、部長にしては珍しい反応だな、と思った。それに、今日は時々憂うような表情を見せるから、それも気になって、ずっと心の隅っこで引っ掛かっていたのかもしれない。
しかし断る理由もないので、私は軽く首を振り、足元のバスケットから鞄を取り出した。