一途な部長は鈍感部下を溺愛中
「実は、結婚前提だと告白したはいいものの、流石に君の覚悟はまだ決まっていないだろうと思った。……から、引かれたり戸惑われたりする可能性もあるかなと思ってたんだ」
「そんな、」
「いや、分かってる。杞憂だったな。君を見くびりすぎていた。ごめん」
一回り太く、けれどしなやかな指に輝く同じ煌めき。
そこに感じるのは戸惑いでも憂いでもなく、泣きたくなるほどの幸福感と、そして満たされるのは独占欲だった。
これで、周りから見ても彼が私の大切な人だとひと目でわかる。それがどうしようもなく嬉しかった。同時に、そんな気持ちが、自分にもあるだなんて知らなかった。
「私……」
部長はいつも、自分ばかりが私を好きだ、なんて顔をする。
でも。
「私、部長が思うよりずっと……部長のこと、だ、大好きです」
だからそんなに不安そうな顔をする必要も、私の機嫌を窺う必要も無いのだと。
そう伝えたかったのだけど、改めて気持ちを伝えるのは気力が要って、恥ずかしくて、顔から湯気が出てしまうかと思った。
目を見ることも出来ずテーブルクロスをじっと見つめていると、目の前で息を呑む気配がした。