一途な部長は鈍感部下を溺愛中
「ほわ……」
そして目の前に広がった光景に、思わず間抜けな声が出てしまった。
何がすごいって、とにかく広い。
開けた瞬間から、天井から床まで続く一面のガラス窓に光の海が満ちている。
その手前には、まるで普通の一軒家のように、ソファーがあり、テーブルがあり、テレビにキッチンもある。
右にも左にもさらに部屋が続いていて、ぽかんとしてしまった。ホテルなんて遊び疲れた夜に眠るだけの使い方しかしてこなかった私には、この部屋はあまりにも未知すぎた。
すごお……なにこれ……と頭の悪い感想を洩らしながら、怖々と部屋の中を進む。
あまりにも豪華な部屋に気を取られ、なんなら部長の存在を一瞬忘れていた。
そして、そんな私を咎めるように背中からあたたかい温度が覆い被さる。
「ひゃっ……」
突然の衝撃に悲鳴を上げてしまう。クスクスと項の辺りで笑う声がした。
「探検は、また後でな?」
揶揄うような声は当然部長のもので、私の腕ごと拘束するかのように、彼の細いのに男らしい両腕が、私を抱きしめている。
ぎゅ、とお腹の辺りで指を組まれ、後ろから寄りかかるように抱きしめられると、体の半分同士が混じり合うようで、部屋のことなんか気にしていられなくなった。