一途な部長は鈍感部下を溺愛中


「カイロは持ったか? 手袋無いのか、貸してやろう」

「持ちましたよ。手袋は大きすぎるから大丈夫です!」


翌日、玄関先で目を光らせて私の装備をチェックしてくる部長に苦笑いを浮かべた。


なんなら既に自分のマフラーを巻いているのに、その上からもう一枚、部長のマフラーを巻こうとしてくるので必死で止める。


「私、寒さには強い方なので!」


こうしているといつまでも外に出られなさそうだ。

耐寒性とは全く関係のない力こぶを作って見せながらドアの外へと抜け出すと、すぐに手を取られた。


「せめてこうさせてくれ」


革手袋に包まれた手が、冷たい空気に晒される私の手を握り、チェスターコートのポケットに突っ込まれる。


私は照れて何も言えなくなり、神社までの道のりを俯きながら歩いた。手汗が滲んでしまわないよう、繋いだ手に意識を向けすぎないよう心を落ち着かせながら。


まだ朝の早い時間。それでも、そこまで大きくない神社は沢山の人で溢れ返っていた。


拝殿へ続く人の波に流されるように最後尾に並び、立ち止まったところで私はぽつりと呟いた。


「部長……」

「部長は現在年末年始休暇を頂いております」

「…………聖さん」

「なんですか、瑞稀さん」


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