一途な部長は鈍感部下を溺愛中
……横山くん、はっきり言うなあ。
じろりと目を眇られ萎縮していると、やがて諦めたように溜息をつき、横山くんは仕方ないなあというように笑った。
「本当に辛い時は絶対頼ること」
「……うん」
「約束だからね?」
わかった?と迫られ、ぶんぶんと頷くとやっと満足そうに目が細まる。
「じゃ、あんまり遅くならないよーにね!」
何かあったら戻るから連絡して!とどこまでも優しい彼を見送ってから、振っていた手を下ろし、倒れ込むように席に座る。
本当に、今日は自分でもどうしてしまったのかと思うほど仕事の手際が悪かった。
こんなんじゃ、東雲部長に見捨てられてしまう……。
仕事のできない人間だと判を押されて異動になるだなんて、色仕掛けをして異動させられた子達より惨めだ。
それから、井上さんも、松下さんも、戸田さんも私を心配して手伝いを申し出てくれたけど、全て断った。
さすがに社内で一番最後、になるまではいかないだろうし、ある程度キリが着けば帰るから、と彼らを説得して。勿論、そうするつもりでもあった。
デスクに一人だなんて、いつぶりだろう……そう思いながら、静まり返った室内でパチパチとキーボードを叩く。