一途な部長は鈍感部下を溺愛中



「……かなりぼんやりしてたようだが、大丈夫か」


確かに、ここ数十分の記憶が無い。

ますます情けないところを見せてしまったことに落ち込みながら、私は何をしていたんだっけ、とぼんやり手元に散らばる資料を眺めた。


……駄目だ、何も思い出せない。


「……部長は、」


どうしてここに? と言おうと思ったが、ドキドキしていた心臓が落ち着いたら、今度はずっと感じていた気怠さが、今日一番の重たさで襲ってきて呂律が上手く回らなくなる。


そんな私に、東雲部長は困った子を見るような表情になった。


「今日は午後から外出で、戻りは遅くなると……一応出る前にも言ったぞ」

「あ……ごめんなさい…」


そういえば、午後はずっと居なかったかもしれない。

そんなことも把握できてないだなんて、喋れば喋るほどボロが出るようで泣きたくなる。


眉を下げて俯いた私に、「怒ってるわけじゃない」と安心させるように東雲部長が声をかけてくれた。


「まだ終わっていないなら少し手伝おう」


そして、そう言った東雲部長がジャケットを脱ぎながら、隣の椅子に座ろうと引いたから。



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