一途な部長は鈍感部下を溺愛中
疲れて戻ってきた部長にそんなことさせられない。そう慌てて思い切り顔を上げたのが、多分良くなかった。
「……っ、」
ぐわん、と脳が揺れ、視界が眩み吐き気に襲われる。
一瞬だけかと思ったそれは長く続き、私は上げた顔をすぐに俯かせて、自分の内から漏れる熱い呼気と気持ち悪さに耐えながら、崩れ落ちてしまわないように机にしがみついた。
「おい、どうした? おい、佐藤」
どこか焦ったような東雲部長の声も、耳鳴りが被さって段々と聞こえなくなっていく。
ああ、また迷惑かけちゃう……。
そう思いながら、私は這い寄る闇に身を委ねるように意識を手放した。
目が覚めたら、知らない部屋だった。
何を言っているのか分からないと思われるかもしれないが、私も何が起きているのか分からない。
仕事! と慌てて飛び起きたら、知らない部屋に居たのだ。
朝の陽射しを透かすグリーンのカーテンに、ナチュラルなテイストで統一された家具たち。
寝かされているベッドは自分の家のものより数倍ふかふかで、サイドテーブルにちょこんと置かれた手のひらサイズの観葉植物がお洒落だ。