一途な部長は鈍感部下を溺愛中
「熱は下がったみたいだな。額の、もう取っていいぞ」
言われるがまま額に手を持っていくと、皮膚ではない感触が当たる。
端っこに指先を滑らせ、摘まんで引っ張るとそれは冷却シートだった。
「喉が渇いているだろう。これ、好きな時に飲みなさい。体温も一応測っとけ」
現状を飲み込めないまま、シートの粘着剤を合わせるように折りたたんでいると、体温計がぽすんとお腹のあたりに飛び込んでくる。
そして、どこか含みのある笑みで流し目を向けてきた部長から、目が逸らせなくなった。
「それで、何か俺に言うことは?」
その言葉に、まだどこかふわふわしていた気持ちが一気に引き締まり、勢いよく頭を下げた。
「ご、ご迷惑お掛けしてしまいすみません……! すぐ! すぐ出ます……!」
そう謝って、掛け布団を蹴とばす勢いでどけて、ベッドから降りようとする。
そんな私の腕を、温かい手のひらがガッと掴んだ。
「まあ待て、落ち着け。まだ病み上がりなんだから。ああもう、勢いよく蹴とばして……」
ほら、と掛け布団が持ち上げられる。
「……あの」
「……」
困って見上げるが、東雲部長はその体勢のまま動かない。