一途な部長は鈍感部下を溺愛中
折れたのは当然私の方で、一体何が何だか分からないまま、私は足を元の位置に戻した。すると、ふわりと優しく掛けなおされる。
そして東雲部長は、まるで私をあやすかのように布団の上から私の太ももあたりを叩いた。
「ごめんな。目が覚めたら上司が居て、驚いただろ」
「いえ、そんな……」
「ただ、俺は迷惑をかけられたなんて思っていないし、謝ってほしかったわけでもない。……分かるか?」
こちらを真っすぐに見つめるふたつの瞳が、光を溶かし込んで飴色に輝く。
どこか甘さを感じるその眼差しにどうすればいいのか分からなくなって、こちらの心を擽るような視線から逃れるように、俯いた。
「……あの、私、熱を出してしまったのに気づかなくて…」
「こら。謝罪は要らない。そう言っただろ」
むに、と唇に東雲部長の人差し指が触れる。
「折角なら、礼の一つでも言ってくれたほうが、俺は嬉しいんだがな」
からかうように笑みを零した部長に目を丸くする。
そして私は、視線を二度三度と泳がせた後で、いつの間にか解放されていた唇を小さく開いた。
「ありがとうございました……。それでも、熱を出してしまったこと、看病くださったこと、お疲れだったでしょうに、すみませんでした」