一途な部長は鈍感部下を溺愛中
全く記憶が無いけれど、意識を失った私を運んで一晩中面倒を見てくれていたであろう上司に、いや、上司じゃなかったとしても謝らないままでいるのは自分が許せず、最後に付け足す。
東雲部長は少し呆れた顔になったが、やがて「ま、そうだな」と明るい声を出した。
「看病云々はともかく、具合が悪いのに無理して仕事してたところは、反省してもらわないとな」
「う……ごめんなさい」
具合が悪い自覚もあんまり無かったんです。……なんて言ったら、さすがに怒られそうだ。
「なあ、昨日、なんで残ってたんだ?」
「え?」
「昨晩までに仕上げなければならないような急ぎの仕事は無かったと思ってるんだが……」
「あ、いえ……。昨日は朝から……その、ミスが続いてしまっていて、やろうと思っていたことが全然終わらなかったので、せめてそれだけは終わらせようと……」
確かに急ぎの仕事は無かった。でも、私が終わらせないと次の人が作業を進められないような書類がいくつかあって、せめてそれだけでも終わらせておきたいと思ったのだ。
部長はそんな私の言葉を暫く静かに聞いてくれていたが、やがて、なるほどと言葉を落とし、眉を下げた。