一途な部長は鈍感部下を溺愛中
昨晩は酷い熱だった、と聞かされた。
意識が戻らず、しかしすぐに病院に連れていくほどでは無さそうだったので、ここ……薄々気づいていたが、東雲部長の家まで連れてきてくれたのだ、とも。
ふうふうと冷ました粥を口に含みながら、渡した体温計を横から盗み見る。そして、ごくりと飲み込んでから口を開いた。
「そのくらい平気ですよ」
示す温度は37.3度。本当に微熱だ。だけど、部長は険しい顔のまま首を振った。
「朝のうちにこの体温じゃ、昼頃にまた上がるぞ。今日はここで休んでいきなさい。熱が下がれば、車で送ってあげるから」
「え!? いやいやそこまでさせられないので、帰りますよ、これ頂いたら」
部長の申し出に喉を詰まらせそうになりながらも慌ててそう言うと、少しだけムッとしたような視線が投げられる。
「……さっき、頼ってほしいといったばかりなんだが」
「ええ……」
確かに言われたけれども、中々素直には頷けない。
今なら体もそこまで重たくないし、帰るなら絶対今なのだ。ここが一体どこなのか知らないけど、最悪タクシーを使えばいい。
「でも、さすがにそこまで甘えられませんよ」