一途な部長は鈍感部下を溺愛中
お気持ちは嬉しいですけど、と断ると、部長は暫く黙った後で、ぴ、と指を二本立てた。
「なら、二択だ」
「二択?」
「ここで大人しく休むか、俺に家まで押しかけられて、君の家で看病されるか。どっちがいい? 他の選択肢は認めない」
「どっ……」
っちがいいと言われても! どちらも部長に迷惑がかかるやつ!
一体部長に何の得があってそんな……そう戸惑いつつ、こちらを見つめる視線は揺らがない。
私の家は安さ重視の狭いボロアパート。部屋も綺麗じゃないし、そんなところに部長を呼ぶ……? ううん、絶対耐えられない……!
ろくに片付いていない六畳一間にこの麗人が座っている姿を想像し、あまりのミスマッチさに身震いした。
そして私は、小さな声で「ここに居させてください……」と項垂れるのだった。
なぜかそう答えた時の東雲部長は、やけに嬉しそうな顔をしていたけど。
──それから、東雲部長はこちらが申し訳なくなるほど丁寧に私の面倒を見てくれた。
時間が経つに連れ、部長の予想通りに熱が上がってしまい、苦しさに喘ぐ私を何度も心配してくれて、氷枕を用意してくれたり、水や薬に、少しでも胃に何か入れられるようにと果物まで剥いてくれた。